ニガくて難しいアクセス解析を、たっぷりのミルクでふわふわの贅沢ラテ的な仕上がりに

そもそも解析を始めたきっかけとかをまとめてみたいと思った

クリエイティブを認めてもらいたい。クリエイターになりたい。最高のコンテンツを作りたい。
きっかけはそれだった。ろくに作ったこともないくせにね。

じゃあ何を作ればいいのか? と立ち止まってしまった時点でクリエイターとしてはダメかもしれないと、今は思う。
心の感じるがままに何かすごいのを作ってそれを認めてもらえれば、それは天才の所業だ。でも僕は天才じゃなかった。そこで、誰もが認めざるを得ないものを作れば自動的に作品が認められるだろう、とふと思った。
そのために、まずクリエイティブの道を極めるのではなくて、それを計測可能な状態(数値化)にすることを目指した。

漫才さえも数値化されて評価されている

クリエイティブアワードとかなんとかみたいな賞だって、最終的には審査員が点数をつけて大なり小なり判定しているはずだし、お笑いという形ないものさえもM1グランプリなんかでは点数化されている。
よく考えれば、料理も、レシピも、家電製品も、アニメもゲームも、まぁ、なんだって点数化されている。
オリンピック競技も結局は同じだ。「同じ指標で計測可能な状態にしてヨーイドンして、一番点数が高い人が勝ち」それだけだ。

ということはwebのクリエイティブだって数値化できるはず。
それが解析の始まりだった。2008年くらいにそんなことを思い、「計測可能にすること」を目標に解析を始めた。

Googleアナリティクスは、その頃はあんまり詳しい人がネット上にもいなかったと思うし、世間的には「海外のツールだから、それに詳しくなってもあんまり使えない」という評価だったと思う。いちツールにすぎないものに詳しくなっても意味が無い、それはあり得そうだ。けど「直帰率」とか「訪問数」とか「ページビュー数」っていう指標自体は、あんまりブレないのではないか? と思い、ツールをすみからすみまで使えるようにしていった。アメブロでページビューが水増しされているというニュースを見たときは、その標準的な指標さえも基準がないと水増しなのか標準値なのか分からないことが怖いと思った。
フルフラッシュのサイトと新聞社のサイトと地方の農家のサイトで同じ指標を完全にフラットな基準で評価することはできるのか? とか悩んだこともあったけど、そんなサイトを解析する機会がなかったので迷わずに「計測可能な状態にする」というテクニック一筋に進むことができた。

初歩の初歩から手探りでいろいろやった

まずは全ページにアクセス解析タグを埋め込んだ。サイトに解析タグを入れて少し経って、毎日のページビュー数が分かるようになった。これだけでも進化だ。サイトに載せているようなアクセスカウンタとは信頼度が違う。で、なんとなく見ていると、ユーザ数とページビュー数が比例していることが分かってきた。ということはページビューを増やすことはユーザを増やすことらしい、というのが見えてきた。

ユーザを増やすというのは簡単に言うと新規ユーザ、サイトへ初めて来てくれるお客さんを増やすということだ。
そのためにはサイトのURLを掲示板に貼ったり、相互リンク/RSSに申し込んだり、検索エンジンに登録したりするというのが10年くらい前の当たり前だった。確かにそれは今でもアリだ。アリだが、時間がかかりすぎるし効果がそもそも低い。ここでいう効果とは手間とユーザ増加数についての感覚だ。
リアルでいうと、山村にぽつんと立っているソバ屋の宣伝を、その村の人(ほとんど通らない)に声掛けして、自分は店で待っているという状態。これじゃあ客は来ないよ。
そこで、ユーザを集める(=集客)の方法として、広告を使うことを知った。リスティング広告。まあ、アドワーズですよね。お金をかければかけるほど人が来るようになる。

だけど、同時に分かることもある。ユーザ数とページビューの比例の伸びがだんだん緩くなっている。具体的には、平均ページビューがあんまり増えないのだ。
つまり、直帰客が多いということ。

ここでまた一つ分かった。「ユーザを集める」と「ユーザをとどまらせる」は別のテクニックが必要だと。

そこで、ユーザはなぜ直帰したり、あんまりページを見てくれないのかを考えた。考えたけど、それは僕の妄想でしかなかったので、実際のユーザに聞いてみたくなった。けど、アンケートフォームを設置して「このサイトはどうですか」なんて聞いても入力してくれるのはスパムとかエロサイトのBOTだけだ。
そこで、ユーザのアクションもアクセス解析できるよう、イベントトラッキングを考えた。
このボタンを押したらバーチャルページ(架空ページ)へアクセスしたことにしよう、と決めて、バーチャルページのPVが高くなることを望んだ。(イベントトラッキングは後にGoogleアナリティクスにも正式機能として追加され、カテゴリとか値といった、より詳細な内容を取得できるようになった)

この時点で、サイトは来客も客の行動もつぶさに観察できるようになった。
そしてアクセス解析で見るところがだんだん増えてきて、その数値が多いのか少ないのかがだんだん分からなくなってきた。

ここでまた一つわかった。「いつも見る指標」と「ときどき見る指標」は別なのだ。

見る指標を絞り数字の意味を知る

「このページは特別で、ここを見たらゴールとして、ここを見たユーザはサイトを評価してくれている」と思うに足る指標を作るべきだとわかった。これがいわゆるコンバージョンだった。

コンバージョン(以下CV)を設定してからは、その数値だけを追うようになった。
CV率100%を目指した。その数字こそが、サイト、つまり僕がみんなに認められている状態であるはず、と思った。

だけど、残酷なことが分かった。
CV率の上限は、100%ではない。事実上は0.5から5%程度に収束してしまうのだ。
30%を超えると嬉しいというよりも異常値として見るべきだし、0.5に達しないとそもそもどっかがおかしいと見るべきだと知った。
その数字も、曜日や時間や広告の内容などで変わったから、サイトの平均値を出すのは時間がかかった。

いろいろ解析やっていたら、いつのまにか最初の目標に戻ってきた

ここまでやって初めて、CV率を高めるためにクリエイティブを良くしよう、と思うようになった。
そういえばGoogleは、ボタンの色や形やレイアウトなんかを、機械的に数値化して評価しているらしいという話を聞いた。僕はそれに感銘した。
なるほど、確かにそうだ。ユーザの顔は見えないけど、ユーザがたくさんクリックしてくれるボタンがすばらしいに決まっている。クリエイティブに人の魂はいらない。評価する人がいれば、機械が作ったものでもすばらしいクリエイティブが生まれるはずだ、と思った。
そこで、クリエイティブテストの手法を知った。いわゆるABテストだ。ページAとページBを用意し、CV率が高い方を生き残らせ、生き残ったページをまた少し改良してテストする。これは終わりが無い。終わりがないが、確実にCV率が高まる。だって、AかBか、どちらかが必ず勝つと決まっているテストだ。

そんなとき、全く何も変えていないページAとBでテストしても差がついたという記事を読んだ。愕然とした。この手法でも本当は何も測れていなかったのではないか?そう思ったら、クリエイティブ作成の全自動最適化をしようと思っていた僕はまた愕然とした。この手法って、おそらく最大公約数の最適化だ。「みんながだいたい良いと思っているものを選び出す手法」だ。僕が作りたかったのは、みんなに向けてのものだったっけ?
じいちゃんもばあちゃんも大人も子どももギャルも主婦も、サラリーマン(っていっても広いのも知っている)みんなが良いという、サザエさんみたいなコンテンツを作りたかったんだっけ?

そうじゃない。俺は俺が良いと思うものを作りたかった。そんで、俺を認めてくれる人がいるならそれでよかった。ただしどれくらい良いと思っているかは知りたかった。

そこで、なんとなく、意識が最初に戻った気がした。最高のクリエイティブは機械には作れない、人が作るのだと。人が作ったものを機械が最適化することはできるし、もっと有用にすることはできる。ただし作ることそのものは人の役割だ。

最近考えること

さて、最高のコンテンツは人が作る。でも、それは別に僕じゃなくてもいいような気がしてきている。
誰かが作ったのを、僕が計測可能にして、全部数値化して、もっと点数を高くするのもいいような気がしている。
そもそも点数が高い方がいい、っていうとクリエイティブの精神?みたいなものを崇高とする人に殴られそうな気もするがグリーだってモバゲーだってレベル高くてステータス高い方が強いし認められるに決まっているし、ジャンプだって発行部数が多いものの方が名作って言われている。

ただ、計測するのと数字を上げて行くのはまた別の作業だ。アホみたいに地道で、ときどきどうでも良くなる作業だ。だけど、それができていないサイトを見ると、とても残念な気持ちになる。だって、せっかく広告やコンテンツにお金をかけているのに、それがいつどこで誰にどう響いているかを知るすべがないっていうのと同じだから。
美味しいパンを焼くのが上手な人が、森の動物たちにそれを全部あげてしまうと、動物はまあ食べるけど、ただ腹が減っているだけかもしれない。そのコンテンツによって喜んだのか、ただ運がよかったのかの判別もつかない。
そんな世界よりも、全部が数字になっている世界の方が、僕は過ごしやすいかな、と思う。

ただ、時代や流行によって、評価されるコンテンツが変わるのは当然あるわけで、たとえば平安時代にモテた女性と21世紀の東京でモテる女性は違うように、時流のトレンドをチューニングしていくという作業は人間っぽいな、とは思う。

また、数字とにらめっこするのが好きかと思われるかもしれないが、僕は数学ができない。好きなのはHTMLとCSSだ。最近はHTML5ですか。だからサイトのソースをいじったり画像をスプライトにしたりJSを圧縮したり高速化したりするのも同じように大好きだ。おそらく、そのへんのやってることは、全部「最強のコンテンツを作る」という一点に向かっているという意味ではブレてないが、目標がザックリしすぎているという意味ではブレブレだ。


こういうことって、成功した人が語る分にはかっこいいけど、成功も失敗もしていない普通のリーマンが書いてもあんまり意味ないかな、と思いつつ、ちょっと秋の夜長に振り返ってみたくなったので書いてしまった。あー恥ずかしい

MIXTURE
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